相澤実歩さん吉田衣里菜さんの論文が日本感性工学学会誌に掲載!

サイコメトリクス 研究 研究室日乗

檀研修士1年の相澤実歩さんと吉田衣里菜さんの論文が、日本感性工学学会誌に掲載されました。いずれも、人の心を定量的に計測する「サイコメトリクス」という技術を食品のマーケティング分野に応用したもので、ニチレイさんとの共同研究です。

相澤さんの研究は、コモディティ化の進んだ食品市場の中で、冷凍米飯商品の価値認識がどのように異なるかを定量化し、差別化戦略の重要性を示しました。言い換えると、某社の某冷凍米飯商品を売るとすれば、どこをどう突っつけばいいのか、ライバル社の商品と比較して、戦略を練ったというわけですね。

日本人消費者における冷凍米飯商品の主観的価値:関係性と差異の統計的検討
相澤 実歩, 吉田 衣里菜, 南 裕子, 久徳 康史, 檀 一平太
日本感性工学会論文誌 17 巻 (2018) 1 号 p. 149-157

筆頭著者の相澤さん

吉田さんの研究は、豚肉を例に取り、消費者の食意識の違いによって、豚肉の購買動機が変化しうることを解明しました。まあ、一概に消費者と言ってもいろいろなタイプがいて、値段しか気にしない人に付加価値を訴えても意味ないけど、響く人を見つければ、豚肉の価値はきちんと伝わるはずということです。

食意識による消費者クラスター形成:豚肉購買動機への影響
吉田 衣里菜, 相澤 実歩, 南 裕子, 久徳 康史, 檀 一平太
日本感性工学会論文誌 17 巻 (2018) 1 号 p. 187-195

筆頭著者の吉田さん

どちらもベースは卒論で、というか、卒論がけっこうよく書けているので、感性工学会に出してみたら~ということになって、どうせなら、査読セッションとやらで論文化も挑戦してみたら~ということになったわけです。学会発表まではわりとスムーズで、楽勝と思いきや、論文審査は意外に厳しく、しっかり査読いただきました。学生には、いいトレーニングとなったことでしょう。

ところで、私(檀)にとっては初の邦文査読論文。というのは、これまでは「英語意外の査読論文は意味ない」と突っ張ってきたのですが、学生に業績を稼いでいただくという目的の前に、いとも簡単に方針撤回。というか、なんだかんだ言って、かわいい女子学生には甘いのでありました。

言語はともかくとして、卒業研究を査読論文として発表するということは、なかなかたいへんなこと。実は私も学部生の頃は卒研の論文発表を狙っていましたが、あえなく玉砕。結局、最初の査読付き論文発表は31歳までおあずけとなりました。それに比べると、相澤さん吉田さんの成果は天晴れ!人間総合理工学科第1期生としての気骨を見せつけてくれました。

それと忘れてはいけないのが、共著者の久徳さんのハイレベルな指導とニチレイの南さんのプロフェッショナリズム。学生相手に容赦せず、真剣勝負で接していただくことで、学生も鍛えられました。

実はこの二人学生の活躍に触発され、後輩もなかなかがんばっているのですが、その報告はまた後日。

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