バーチャルレジストレーション
バーチャル(仮想)レジストレーションとは?
バーチャル・レジストレーション法は、MRIも3Dデジタイザーも用いずに標準脳座標系へのレジストレーションを行なう方法である。3Dデジタ イザー計測は煩雑な手順を伴い、必ずしも、限られた診断、計測時間の中で行えるとは限らない。また、実際の臨床計測においては、NIRSホルダーの設置法 は予め決められている場合が多い。そこで、バーチャル・レジストレーション法は、NIRSプローブ設定に再現性があるという仮定を導入した上で、NIRS のプローブ・ホルダー自体の設置と変形をコンピューター・シミュレーションに組み込む。
バーチャル・レジストレーション法では、まず、ホルダーの種類や構造に応じたバーチャル・プローブ・ホルダーを生成する。実際の計測では、被験者頭部にプ ローブ・ホルダーを設置する際、ホルダーの変形が生じるが、この変形の様態をアルゴリズム化し、計算によってコンピュータ上で再現するわけである。次に、 MRI画像のデータベースからリサンプリング法によってバーチャル被験者を生成してする。この際に、次に述べる3つのパラメターを用い、リサンプリング法 によって、新規頭部構造を持つバーチャル被験者を生成する。第一に、データベースの中から、ランダムに1つの頭を選択し、これを変形の基本材料として用い る。第二に、頭の大きさを定義する。そして、第三に、頭の形を表すパラメターとして、頭の幅、奥行き、高さを設定する。
このようにして生成されたバーチャル被験者の頭に、プローブ・ホルダーをバーチャルに設置する。バーチャル・プローブ・ホルダーを設置した後は、確率的レジストレーション法と同様の手順により、頭部のプローブ位置を標準脳座標系に変換し、脳表へと投影する。
用途に応じて、数十から数千のバーチャル被験者に対するバーチャル・レジストレーションを行い、位置推定の結果の統計的な処理をおこなう。このサイトで は、1000名のバーチャル被験者によるレジストレーション結果を示している。これにより、推定位置の被験者間誤差の推定を行うことができる。ホルダーで 覆われた範囲においては、座標値の標準偏差は1cm以下であり、実用上問題のないレベルの空間的推定精度である。
詳細は、下記論文を参照のこと。
Tsuzuki, D., Jurcak, V., Singh, A. K., Okamoto, M., Watanabe, E. and Dan, I. Virtual spatial registration of stand-alone functional NIRS data to MNI space. NeuroImage 34, 1506-1518 (2007)
Brodmann area (Chris rorden’ MRIcro): Rorden, C., Brett, M., 2000. Stereotaxic display of brain lesions. Behav. Neurol. 12, 191– 200.
LPBA40: Shattuck DW, Mirza M, Adisetiyo V, Hojatkashani C, Salamon G, Narr KL, Poldrack RA, Bilder RM, Toga AW. Construction of a 3D probabilistic atlas of human cortical structures. Neuroimage 2007; 39: 1064-1080.
Brodmann area (Talairach daemon): Lancaster JL, Woldorff MG, Parsons LM, Liotti M, Freitas CS, Rainey L, Kochunov PV, Nickerson D, Mikiten SA, Fox PT. Automated Talairach atlas labels for functional brain mapping. Human Brain Mapping 2000; 10: 120-131.
バーチャルレジストレーションの実際
- 日立メディコ3×5ホルダーのバーチャル・レジストレーション結果はこちら。
- 3×5 holder
- 日立メディコ4×4ホルダーのバーチャル・レジストレーション結果はこちら。
- 4×4 holder
- 日立メディコ3×11ホルダーのバーチャル・レジストレーション結果はこちら。
- 3×11 holder