研究室日乗
中央大学研究機構の佐野俊文客員研究員(自治医大所属)が、2013年6月8日、第28回日本生体磁気学会にて U35(朱鷺賞)を受賞いたしました!
おめでとうございます!
日本語に特に多いと言われている「オノマトペ」を耳にしたとき、人間の脳の中では何が起こっているのか?という内容の研究発表でした。
-
―佐野さんに研究内容について分かりすく説明をしていただきました!
- 第28回日本生体磁気学会,U35(朱鷺賞)受賞
「言語処理におけるオノマトペ特有な神経応答の同定」 オノマトペとは「がたがた」,「どろどろ」や「どっきり」のような音や状態を字句で表した言葉のことです.日本語は豊穣な質感表現をもつ言語であるといわれていますが,これは日本語がよりたくさんのオノマトペを持っているためではないかと考えられています.
日本語はオノマトペの種類が多く,特に「ぱらぱら」や「わくわく」のように言葉を2度繰り返す畳語オノマトペが豊富な特殊な言語といえます. そこで日本人に対し日本語のオノマトペを聞いてもらう実験を行い,その時の脳活動を解析すればオノマトペの認知処理のメカニズムが解決できるのではないかと考えました.
今回の実験では,脳が活動しているときに発する微弱な磁場(脳磁場)を計ることのできる脳磁計という特殊な装置を使って行いました.13名のボランティアの方々にご協力いただき,計76個のオノマトペを聞き,その意味を判断するときの脳磁場を測定しました. 解析の結果,畳語オノマトペの2度目の繰り返しが始まった直後に,右脳の角回と呼ばれる場所で脳の電流が増加することが解りました.角回は言葉の意味を理解するための処理を行っていると考えられている場所です.また,この反応は普通の言葉や意味のない言葉では見られず,オノマトペ特有な脳活動の変化であることも解りました.
この研究の成果によって,ヒトはオノマトペを聞いたとき,普通の言葉とは異なるメカニズムで意味を理解しているということが解りました. 私は信号解析の専門家で,心理実験や言語に関しての知識は浅かったのですが,共同研究者の先生方にご協力頂き,研究発表に関してもアドバイス頂けたおかげで学会賞を頂くことができました.この成果を論文として発表できるように,今後は更に解析を進めていきたいと思います.
More from this site
- 旅立ち 今年の人間総合理工学科留学組が、無事それぞれの留学先の国へ旅立っていきました!今年の留学組の皆さんが、新しい環境のなかで様々なバックグラウ […]
- 理工系情報誌 女子高校生、中学生のための理工系進学情報誌『Happy […]
- 認知脳科学の講義 9月からスタートした檀先生の「認知脳科学」の講義。その中身を少しだけご紹介いたします。 […]
2013/06/08