TOEIC対策最終兵器

英語学習

本来、TOEICというのは、地道な英語学習の成果を客観的に見るためのツールです。テストにはそれぞれ最適な計測範囲があるのですが、実際、TOEICのレンジは、一般的な日本人英語学習者の実力を測るのに絶妙なところに設定されています。なので、TOEICの点数は英語学習の結果であって、目的になってはよろしくありません。しかし、人生には、TOEICの点数が必要となる側面が時々あるものです。そして、私の周囲にそういった「勝負の時」を迎える方がいらっしゃる今、TOEICの点数を飛躍的に上げる「最終兵器」の紹介をしてしまいます。

それは、「新TOEIC(R)テスト 直前の技術」byロバート・ヒルキです。

HilkiNounou

ちなみに、このブログはアフィリエート契約をしてないので、利益相反はありませんからね。

著者のヒルキ先生は、かつて私がICUの学生であった頃、留学のためのTOEICテストの対策を教えてくださった隠れ恩師。ICUのお堅い英語教師は、「TOEFLは英語の実力を測るテストだから、対策は効かない」とありがたい教えをくださいましたが、ヒルキ先生だけは、「対策の効かないテストは存在しない」という超合理的思考を主張しておりました。当然、プラグマティズムに反応性の高い私は、すっかり感化されてしまったわけです。ちなみに、ヒルキ先生は妻の恩師でもあり、未成年時代の多感な彼女に、赤貝の多義性について貴重な教えを授けてくださいました。しかも講義中にね。

そんなお茶目なヒルキ先生は現在、TOEIC受験のカリスマとして、我が国の英語教育界に絶大な影響力を誇っていらっしゃいます。彼のどこがすごいかというと、TOEIC満点が取れるなどというレベルにとどまらず、狙った点数はいかなる点数であっても取れるという圧倒的実力。満点というのは全問正解さえすれば取れるのですが、550点をぴたりと取るのは、テストを熟知しないとできません。そこまでテストを舐め尽くすということは常人には不可能ですが、ヒルキ先生レベルの達人はそこまでやっちゃうのです。

そして、そのTOEIC対策のプロ中のプロであるヒルキ先生のテクニックの結晶が、この「新TOEIC(R)テスト 直前の技術」なのです。たとえば、「問題を読まずに問題を解く」とか、「リスニングで答えを確信したら、次の問題の選択肢を眺める」とか、あざといテクニックが満載。その数なんと43。これらを身につければ、確実に点数は上がります。

ただし、ヒルキテクニックの最もワルい教えである「時間が足りなくなったら、ひたすらAをマークせよ」だけは割愛されています。さすがに、これは倫理的にまずかったのでしょう。そこで、補足説明をいたしますと、初学者はTOEICで時間が余るということはまずないわけですが、そういった時に空白を残しては、確実に得点機会を失います。その際に、テキトーにマークをつければ、平均して約25%の得点が上乗せされます。そのタイミングは試験時間、残り2分です。このときに、ランダムにマークしておくと、どこが正解で、どこがテキトーか分らなくなります。なので、一番分りやすいAにマークします。それに、同じ選択肢を選んでおけば、マーキングのスピードも上がります。その結果搾り取った最後の1分とかで、もう1問くらい確実な正答を勝ち取るのです。

実はこれが300-800レンジの受験者にとっては、TOEIC点数アップの最強の方法だったりします。このレンジだと、試験時間内に全問回答は不可能です。なので、最後に焦って点数を落としたり、空欄のまま答案を提出したりしてしまいます。白紙回答は確実なロスを意味します。しかし、テキトー回答しておけば、期待値としては点数は上がります。たとえば、20問を空欄で終了した場合、マークさえしておけば、平均すれば5問は正解となります。だいたいTOEICは1問5点程度の配点ですので、これだけで25点アップです。さらに、最後の1分で、心の余裕を持って、確実な正答を導き出せば、5点のアップが期待できます。さすがにこれは本には書けませんね(ブログにしっかり書いちゃってますが)。

本題に戻りますと、レベルにもよりますが、この本に真剣に取り組むには約2週間を要します。実際には、この本を読んだ後にTOEIC模試をしまくってテストテクニックを実践しまくるべきですので、3週間くらいはほしいところです(そう、1ヶ月後にTOEIC受験を予約している○○rさん、これは、あなたのために書いているのよ!)。

そして気になる効果のほどですが、300~800点の人であれば、50点くらいは余裕で点数がアップするでしょう。800点以上になると、TOEICでの実力計測が不適切なレベルになりますので、さすがに劇的な点数上昇は期待できません。また、300点以下はそもそも英語が分っていないので、何をやっても無駄です。なにせ、全部Aをつけても250点くらい取れるテストですから。

最後にくれぐれも釘を刺しておきますが、タイトルにもあるように、この本は「最終兵器」であり、一度しか使えません。このテクニックをしっかり身につけて、テストスキルのベースアップをしてしまった後、点数アップの方法は「実力を上げること」しかなくなってしまいます。つまり、この本は戦術的なものであり、英語力を上げる戦略にはなりえません。では、英語力を上げるにはどうすればよいのか?だいたいTOEIC900点あたりまでは確実な方法がありますので、いずれ伝授してまいりましょう。

(檀)

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